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ケアンズはオーストラリア大陸北東部、クイーンズランド州に位置。人口15万人の小さな街だが、ファー・ノース・クイーンズランド地方(クイーンズランド州の最も北の地域)の中心都市です。グレートバリアリーフでの様々なマリンスポーツ、クイーンズランドの湿潤熱帯地域と、海山両方の世界遺産があり、ファー・ノース・クイーンズランドの観光拠点となっています。気候は熱帯モンスーン気候に属し、ケアンズはオーストラリアで最も湿度の高い都市です。

24時間日本語医療サービス

ケアンズには日本語通訳付きの医療サービスがあり、24時間診察可能で電話をすると通訳の人と話すことができる。また、海外旅行保険に加入していると、現地での医療サービスを無料で受けられ、日本からの有効な海外障害旅行保険に加入していれば、治療費、お薬代、通訳代とも無料となります。

オーストラリアは原則無料のサービスを全国民に提供する英国に近いシステムをベースにしていますが、負担能力のある者に上乗せサービス(混合診療)を認めています。
混合診療を認めている多くの国は公的医療保障が柱で自己負担分を民間保険がカバーしている形ですが、オーストラリアは税方式の国民皆保証制度が基本になっているものの、民間保険も一躍を担っていて、民間部門が小さい英国とも、全国民向けの公的保障がない米国とも、混合診療を認めない日本とも異なっています。1975年に初めて保険方式の皆保障制度“メディバンク”が導入されましたが、わずか5ヵ月で任意加入・民営化というかたちになり事実上廃止されました。
1984年に“メディケア”と名前にかえ保険方式ではなく給料から一定の割合の税を納入させる税方式で、再導入されました。現在は、基本的な枠組みは維持されたまま、医療費自己負担の引き上げや、民間医療保険の加入推進などが進められています。メディケアに加入できるのはオーストラリア国民とオーストラリアに居住する永住権所有者に限定されています。
メディケア制度運営に係る費用はメディケア税と一般財源により賄われていて、低所得者には免除措置、中高所得者には追加の税負担があります。

医療施設には、かかりつけ医(GP)がいる診療所、救急対応をメインとする病院、慢性期の患者のケアを行うナーシングホームなどがあります。患者はGPを自由に選択できるそうです。医師はGPと専門医に分けられていますが、診療行為の制限はないそうです。病院は総合病院・専門病院にわけられ、それぞれ公立・私立があります。
公立病院には公的患者とプライベート患者という括りがあり、公的患者は自己負担無しで入院できるが、医師の指名等はできません。私立病院では、専門医による診療サービスに対する費用や入院料、手術室使用料等は請求されますが、救急ではない手術の待ち時間が公立病院に比べて短く済むほか、医師や入院環境の選択ができるなどのことから、公立病院との差別化が図られ、病院の約4割が私立病院となっています。
通常、診療はGPより受け、病院は緊急の場合、入院・手術が必要な場合のみ使用されます。GPに紹介してもらい検査や専門医の診療を受けた場合でも、結果はGPに聞きにいき、GPが総合的な診断を行います。

メディケア制度の適用範囲

病院・診療種別 メディケアによる償還 text text
GP(診療所) text 外来 無料(薬剤を除く)
公立病院 公的患者 外来 無料(薬剤を除く)
text text 入院 無料(薬剤を除く)
text プライベート患者 外来 医療サービスの対価の85%を償還
text text 入院 医療サービスの対価の75%を償還(入院料等は患者負担)
私立病院 text 外来 医療サービスの対価の85%を償還
text text 入院 医療サービスの対価の75%を償還(入院料等は患者負担)

私立病院や公立病院のプライベート患者については、自己負担分や入院料は民間医療保険から支給されます。
医療費の過剰な自己負担防止を目的とした医療費セーフティネット制度や医師の処方箋により薬局で購入した医薬品の患者負担を軽減させるため薬剤給付制度もあります。

ケアンズセントラルショッピングセンター内にある薬局。
全豪で1、2位の規模の薬局で、150店舗・500人の薬剤師が在籍。オーストラリアでは多い形態の薬局で、広域に処方箋を扱っており、雑貨(化粧品やサプリメント)も豊富です。

  • 全体のスタッフは40人で訪問日は3人の薬剤師が勤務
  • 薬は約1000種類を常備
  • 1日の処方箋枚数は300~450枚(近くのクリニックの患者はほぼ、
      このテリーホワイトに流れてくる
  • スタッフは決められたユニフォームを着用

処方箋の入力は薬剤師・テクニシャンどちらも行うが、テクニシャンが入力したものは薬剤師が、薬剤師が入力したものはテクニシャンが、必ずダブルチェックを行います。
監査以外の業務は薬剤師以外が行うことができます。
オーストラリアでは患者さまの薬の情報は、その店舗で調剤したものしか分かりません。また、薬情やお薬手帳のようなものはないが、希望する患者さまには薬の情報が添付文書のように細かく書かれたものを渡します。

処方箋

処方箋は一般的なものとリフィールで色分けされており、青が一般的な処方箋、黄色がリフィール処方箋となっている。テリーホワイトではリフィール処方箋の割合の方が多いとの事。
(写真右が一般的な処方箋、左がリフィール)

薬は箱のまま直接患者さまへお渡し。
左の下の写真は服用に関する指示が書かれたシールで、薬の箱に貼って渡します。

  • 後発品への変更

    処方箋は一般的なものとリフィールで色分けされており、青が一般的な処方箋、黄色がリフィール処方箋となっている。テリーホワイトではリフィール処方箋の割合の方が多いとの事。
    (写真右が一般的な処方箋、左がリフィール)

  • テリーホワイトブランド(自社製品)

    テリーホワイトではオリジナルのジェネリック薬を作って、それを安く販売しています。このアテノロールの場合、先発品が16AU$に対し5AU$と約1/3の値段。

OTC薬に関して

OTCは購入時に身分証明書の提示が必要なものがあります。またOTC薬は買いすぎを防止するために登録、管理しています。

個人薬局で7:00~11:00までとケアンズで一番遅くまでやっている薬局でした。処方箋は1日300~400枚で、だいたいは隣接する病院からのものだそうです。病院は24時間で日本語も対応しているそうです。薬剤師は5人で、在中しているのは3人(服装に規定はなくラフな格好でした)テクニシャンは5~6人いるそうです。必ず薬剤師が行わなければならないのは鑑査のみで他の業務は誰がやってもよいそうです。

通常お薬は箱ごと渡しているそうですが、少量ずつ渡すようにケースに入っているものもありました。
日本みたいに散剤はなく、小児用のDSも水に溶かしてから渡しているそうです。錠剤が飲めない嚥下困難者には錠剤を粉砕して渡しているとのことでした。公的にカバーされている人には3剤までしか処方されないらしく、その他の人でも多くて5~6剤なので、一包化もないとのことでした。入力PCの画面の下のほうにグラフがでていて、黒は今週、赤は過去平均で時間ごと何枚受付したかわかるようになっていました。

今回の研修でオーストラリアの医療保障制度、薬局のシステムなどを学び、国が違えば本当に多くの違いがあるのだと知ることが出来ました。それぞれの良いところ、抱える課題、様々あると思いますが、保険料未納や、医療格差、医療保障のそもそものあり方等、多くの問題を抱える我が国において、オーストラリアの制度からは学ぶべき事が多いと感じると同時に、まずは一日本人としてもっと日本の医療に関心を持たなければならないと思いました。
日本では私たち事務が出来る仕事はまだまだ限られており、オーストラリアのテクニシャンとは求められる能力に差があるなと、自分の存在を小さく感じてしまう部分もありました。ですが、その分だけテクニシャンの仕事は責任も重く、薬剤師とのお互いの信頼関係もより強いものなのだろうと思います。いずれ日本にテクニシャン制度が導入されることと期待し、日々の仕事の中で様々な事を学び、沢山の知識を身につけて行けるよう増々努力を重ね、日本のテクニシャンは素晴らしいと、逆に他国から目を向けてもらえるような存在になっていきたいと思います。