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オーストラリアは、オーストラリア大陸本土とタスマニア島及び多数の小島から成りオセアニアに属する国です。公用語は英語、通貨はオーストラリアドル(1ドル=80円)。最大の都市はシドニーですが、首都はキャンベラです。面積は約770万平方キロメートルで日本の約20倍、人口は2400万人で日本の5分の1以下です。大陸の北東部は熱帯雨林気候または熱帯季節風気候に属し、サンゴ礁が広がるグレートバリアリーフが有名で、ケアンズが観光拠点になっています。

ケアンズはオーストラリア大陸北東岸、ヨーク岬半島の付け根付近に広がる珊瑚海に面する港湾都市です。面積は約488平方キロメートル、人口は約15万人でオーストラリア14番目の人口です。熱帯モンスーン気候に属していて、モンスーンの雨季は11月から5月、6月から10月は乾季ですがにわか雨が多く、ケアンズはオーストラリアで最も湿度の高い都市です。日本から飛行機で7時間と近い上、時差も+1時間と少なく、東京よりも治安がいいと言われています。日本語が観光業やサービス業など求職上有利に働くためワーキング・ホリデーに来る人も多いです。実際、私たちもツアーガイドやお土産店などで日本人に対応していただくことが多々ありました。

オーストラリアはユニバーサルヘルスケアが達成されていて、イギリス連邦諸国に倣ったプライマリケアおよび総合診療医(GP)システムを持ちます。オーストラリアでは、GPが担うプライマリケアと、病院が担う二次医療、三次医療とで分かれています。病院や専門家のサービスを受ける為にはGPの紹介状が必要です。

・GP(General Practitioner、一般開業医)
GPとはかかりつけのことです。様々な分野の医療知識を持ち、歯科以外のほぼ全ての分野の病気やケガを診察します。患者はどこのGPを選択しても構わないです。

・専門医(Specialist)
GPの診察だけでは無理だと判断された場合、紹介されることになります。

・病院(Hospital)
病院には「公立病院(Public Hospital)」と「私立病院(Private Hospital)」に分けられ、それぞれ総合病院と専門病院に分けられます。公立病院は州政府と連邦政府の資金補助により運営されているので、原則として一般国民に対する病院サービスの無料提供を実現しています。市立病院は営利と非営利の2つのタイプがあります。このように公立病院と私立病院が存在します。緊急性の高い手術などは公立病院で、比較的緊急性の低い手術は私立病院でとありますが、病院が数多く存在する都市部では、公立病院と私立病院、私立病院間の競合も激しくなっています。

・薬局(Chemist)
オーストラリアの薬局は「Chemist」と呼ばれる場合が多いですが、まれに「Pharmacy」と表示されていることもあります。医師からもらう処方箋には、処方薬を指示したもとOTCを指示したものがあり、処方薬を出してもらう場合は「Prescription」と掲げられたコーナーに行きます。

  • GPの看板には、GPという文字はない
  • 薬局(Chemist)の看板例

オーストラリアは公的医療制度と民間医療保険が並立しています。

■公的医療制度
・メディケア
日本の健康保険に相当し、連邦政府によって全国一律で運営されています。運営するための資金は、4分の3が一般財源、残りの4分の1が国民から徴収する「メディケア税(Medicare Levy)」によって賄われています。また、個人で年間所得が9万ドル以上、家族で18万ドル以上ある高額所得者は収入に応じて、1%、1.25%、1.5%の上乗せ課税(Medicare Levy Insurance)が発生します。

■民間医療保険
政府は市民に対し、収入に応じて民間医療保険に入ることを推奨していて、保険料の一部(おおよそ3分の1)は所得税控除となります。市民の約半数は民間医療保険にも加入しています。民間医療保険はいくつかが存在し、Health fundsと呼ばれていて、最も市場シェアが大きいのはMedibankです(シェア30%)。その他、営利企業、非営利組織があり、HCF Health Insurance、CBHS Health Fundなどがあります。

【Terry White Chemmart】

市内のショッピングモール2階にあるフランチャイズの薬局で、日本でいう調剤併設のドラッグストアといった感じの薬局です。日用品、化粧品、特に健康食品・サプリメントを多く扱っていました。1日の処方箋枚数は300枚前後。1日に薬局を利用する方は約900人だそうです。開局時間は曜日によってさまざまですが、木曜日は21時まで開局しているということと、定休日がないことが多くの日本の調剤薬局とは違うところです。

薬局訪問時、薬剤師2人+調剤テクニシャン1人+ファーマシーアシスタント3人でした。標準的な薬局よりはテクニシャンの人数が少ないような感じがしました。訪問先の薬剤師は、「2人で平均300枚の処方箋をこなすのはストレスがかかっている」とお話ししていました。また、「日本では処方箋300枚だと、7人の薬剤師が必要」ということを伝えたところ「ありえないね」と苦笑いしている様子でした。

月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
8時30分〜18時00分
8時30分〜18時00分
8時30分〜18時00分
8時30分〜21時00分
金曜日
土曜日
日曜日
8時30分〜18時00分
9時00分〜17時30分
10時30分〜16時00分

【リピート処方箋】

5回リピートが許された処方箋。そのうちの1回目と書いてあります。処方日数が1ヶ月分でリピート回数が5回の場合は、初回分とリピート分を合わせて6ヶ月間は一般医(GP)の診察を受けずに薬局で調剤をしてもらうことができます。

患者からはリフィル薬を取りに来る2-3日前に連絡が入るそうです。

【入力・鑑査システム】

薬品の箱をスキャンすることで、入力内容と誤りがないか確認してくれるシステム。薬剤師にかかるストレスを軽減してくれると話していました

  • ↑薬品の箱に貼るラベル
  • ↑薬局内にある減量相談コーナー
  • ↑どこの薬局もサプリメントが豊富
↑オーストラリアの薬剤師は少人数で多くの処方箋を応需しています。

~上記を実現させている3つの違い~
1.調剤方法の違い
オーストラリアでは箱調剤をします。日本のように箱から出して、はさみで切って、輪ゴムで束ねるといった業務がありません。

2.薬歴記載の違い
オーストラリアでは薬歴の記載が必須ではありません。ただし、患者と話をした結果、薬学的介入につながった場合は決められた方法で記載する必要があります。

3.法規制の違い
オーストラリアには日本のように処方箋40枚/薬剤師1人といった制限がないため、少人数でも多くの処方箋を応需できます。テクニシャン制度が導入されているので、薬剤の調整は薬剤師でなくてもできるようになっています。薬を患者に渡す際は対面での服薬指導が必須ではありません。薬剤師は患者の求めがあった場合に対応します。

(溝口)
オーストラリアでは、国民が健康に対して自己管理がしっかりできていると感じました。日本は決められたことしかしていませんが、オーストラリアでは患者さん自身が決めている部分が多いです。これは国民の健康意識が高いからこそできることだと思うので、私たち日本人も見習う部分があると思います。また、薬局には個室があり、気軽に相談できる場所があるので、そこから薬局と地域の人達との関わりもできると思います。なのでこれから健康サポート薬局になる為に、いつでも地域の人達が来やすい雰囲気作りをしていきたいと思いました。

(坂本)
今回オーストラリアの薬局を見学してみて、調剤テクニシャン制度やリフィール処方せんなど、日本でも進めようとしていることがすでに実践されていることが分かりました。オーストラリアでは、患者と薬剤師が接することはほとんど無く、調剤テクニシャンなどのスタッフが対応していました。GEは先発医薬品の半額以下の値段の物も多く日本より安いためGEの普及率もだんだん伸びているそうです。日本人は、先発医薬品の方が効果があると思っている人も多いですが、オーストラリアはGEに変えることは良いことと認識している人が多いそうです。
日本でもオーストラリアのようなやり方になったらアシスタントが活躍できる場面も増えると目で見て感じることができました。

(佐藤)
今回の海外研修にタイトルつけるならば「オーストラリアで日本の薬局の未来像を再確認した」ということになるでしょう。
特に薬局の在り方について大きな違いを感じました。オーストラリアの薬局は処方箋を300枚も応需してかつ、健康食品やサプリメントの販売、健康相談にも取り組み、人々にとって「健康を維持する上での欠かせない場」といった印象を受けました。今後日本においても健康サポート薬局になっていくにあたって、そういった立ち位置を目指さなければならないのだと感じました。
今後日本でリフィル処方箋やテクニシャン制度が導入されることによって、薬剤師の数が1/3になるということを中原先生からはいつもお伺いしていましたが、今回自分の目で確認したことによって、現実的なことなんだと改めて認識できました。
今回海外研修で学んだことを今後の健康サポート薬局づくりに活かしていければと思います。