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バリ島は、東南アジアのインドネシア共和国に属する島で、首都ジャカルタのあるジャワ島のすぐ東側に位置しています。2010年の人口は約389万人だそうです。「神々の島」とも形容されるバリ島では、人びとのおよそ90%が、バリ・ヒンドゥーと呼ばれる信仰を奉じています。
バリの気候は、一年を通じて気温の変化はほとんどなく、年間の最低平均気温は約24度、最高平均気温は約31度、平均湿度は約78%です。いつでも暑く湿度も高いですが、体に感じる暑さは、海からの風によってやわらげられているそうです。

JICAについて

JICAは、発展途上国に対するODA(政府開発援助)の中核的な実施機関で、日本から途上国へ専門的な技術や知識を持った人を派遣したり相手国から人を招いて研修を行なったり、その国の発展のために民間企業やコンサルタント、NGO、大学などが技術協力で貢献する事で、「人を通じた国際協力」を行なっている所」です。
発展途上国への発展支援・紛争後の復興支援・平和構築のための活動・大規模災害が発生した時の国際緊急救助隊の派遣等の活動をしています。

インドネシアの医療保障制度は、日本のように国民全員を対象としていません。主な医療制度に、民間企業の労働者が被保険者の「労働者社会保障制度」(JAMSOSTEK)・貧困者を対象とする「社会健康保障制度」(JAMKESMAS)・その他に民間の医療保険などがあります。現在の公的医療保障制度には、貧困層以外の自営業や農家などを対象とした制度がないので、国民の約半数が無保険者です。
貧困者を対象とする「社会健康保障制度」が2005年に施行され、貧困層の人をカバーできるようになりました。医療給付制度や医療保険で対象となる割合が20%台から40%台になり、2007年には半数が何らかの医療保障をもつようになりましたが、制度に該当しない中間層の無保険者が病気などになった場合に、貧困層に落ち込んでしまうこともあるそうです。
食生活の変化、活動量の少ない生活への変化で、糖尿病・心臓病・ガンなどの非感染症疾患が増えています。インドネシアの医療費は増加していて、社会健康保障制度などの実施で政府の支出割合が増えていますが、医療費に当てられる割合は少ないそうです。

社会健康保障制度(JAMKESMAS)

被保険者
貧困者
加入者数(2007年)
7,370万人(人口の33.6%)
財源
1人1ヵ月あたり5,000ルピア(約50円)を政府が拠出
給付金
入院と外来 自己負担なし

対象者には保険証にあたる黄緑色の「社会健康保障制度カード」が発行され、地域診療所・公的医療機関・軍や警察の医療機関において無料で治療を受けられます。
薬剤は、認められた13,000種類の薬が医師の処方によって対象となります。ジェネリック医薬品が処方されるそうです。

労働者社会保障制度(JAMSOSTEK)

被保険者

民間の労働者、配偶者、21歳までの未就労で未婚の子供3人まで
強制/任意

強制:10人以上の企業 1ヶ月の賃金総額が100万ルピア(約1万円)
任意:小さな企業で働く従業員や自営業者
※民間の医療保険に加入していれば、免除されるので、多くの大企業が自家保険を行うか
民間の医療保険に加入しています。
給付金

「労働者社会保障制度」の医療費基準内で支払われ、基準を超えている場合は自己負担。
※ガン・透析などが免責

ガン・透析などの重大疾病が対象外になっている事が加入しない要因の一因になっています。たとえ制度に加入していても保険料を納めない場合が多いそうです。

1991年、JAICAの支援により、設立。
インドネシアの中核病院の1つで、バリ島だけではなく、他の周辺の島の医療も担っている国立病院です。
ベッド数は、約600床、約2000人のスタッフがいるそうです。JAICAによる研修で、日本の病院で勉強した経験がある14名の看護士さんがいました。研修期間は、大体1年~1年半だそうです。1日の外来患者数は約827人、救急外来は約207人です。
インドネシアの病院は、富裕層や外国人が掛かるインターナショナル病院と、貧困層が掛かる庶民の病院に分かれていました。
病室のベッドも、裕福な順に、VIP、1stclass、2ndclass、3rdclassに分かれていました。ベッドは、ほとんどが満床でVIPが95%、1stclassが77%、2ndclassが42%、3rdclassが103%という状況でした。2ndclassの満床率が低いのは、3rdclassの貧しい人を移せない為だそうです。

見学させて頂いた、入院病棟の老人科は、ベッド数50床、薬剤師1人でした。
薬剤師が薬を用意し、看護士が患者さんへ薬を渡すそうです。
薬や、注射もVIP、1stclass、2ndclass、3rdclassに分けられていました。
注射は、病室のランクと、患者名が書かれたロッカーへ、薬は、患者ごとにケースへ入れ引き出しに病室のランク別に分けられ保管されていました。
サングラホスピタルは、医師、看護士だけでなく、助産婦や専門医などの教育もしていて、世界的医療を、多くの人々に提供できるようにするという目標を掲げているそうです。先進国に比べるとまだ医療が進んでいない面がありますが、医療を発展させようと言う強い意欲を感じました。

Sanglah Central Public Hospitalの薬局

病院内には薬局は一ヶ所、365日24時間やっています。そのため夜間は薬剤師が不在になるため、薬局長さんが病院の近くに住んでいて何かあればすぐに呼ばれるそうです。
昨年の年間処方箋枚数は、1,253,294枚で、薬局で投薬とお会計(診察料とお薬代)をしていました。
現在5つの薬科大があり、5年間の教育を受けるそうです。病院の薬局では薬科大からの実習生も受け入れていて、見学させていただいたときも実習生がいらっしゃいました。

2011年のバリ島の薬剤師は19人で、テクニシャン47人、事務18人いるそうです。
テクニシャンは特に資格はありません。専門の学校を卒業すれば認定がもらえます。事務は受付、入力、お会計をしていました。
院内に薬局はありますが、病院のまわりにも3つの薬局があります。患者さんは自由に薬局を選んで薬をもらうそうです。院外の店舗数が多い薬局だと、薬の値段が安いので、病院の中の薬局が有利だとは限らないそうです。
薬の値段は国が決めていますが、薬局でそれぞれ値段が違うそうです。
冷所保存の薬剤は時間ごとに数のチェックをするそうです。規格違いの薬剤は、数字だと間違いやすいのでヒートに色の違う線を3本引いて、色の組み合わせで区別していました。

粉薬の調剤

  • ①乳鉢で混ぜる
  • ②トレイに1回量を均等に分ける
  • ③分包紙に入れる
  • ④機械にセットし袋を閉じる
  • ⑤一つの袋にまとめて完成
    一包ずつの重さは量っていませんでした。

今回、バリの病院・薬局を訪問させていただいて初めて見るものばかりでとても驚きました。インドネシアの医療制度や調剤の流れなど、日本と異なるところが多かったのが印象的でした。
街の中にもたくさんの薬局があり、患者さん自身が薬局を自由に選ぶことができるシステムは日本と似ているなと思いました。海外の医療施設を実際に見学させていただく事で、日本との医療の仕組みと比較でき、とても充実した研修でした。