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アメリカ合衆国の西海岸に位置するカリフォルニア州。その広さは、南北に約800マイル(1280キロ)、東西はおよそ200マイル(320キロ)にわたり、多くの観光客が訪れる場所です。アメリカでの交通手段は主に自動車で、高速道路が日本と違って無料。1990年代までは、公共交通機関はバス以外には発達せず、流しタクシーもほとんどなかったそうです。
カリフォルニアの気候は場所により千差万別で、南部の海岸地域と州の砂漠地帯は、基本的に亜熱帯性気候。いっぽう北部は穏やかな気温で、標高の高いところでは涼しい高山性気候だったりもします。今回訪れたところは、年間を通して過ごしやすいところでした。大平洋から吹く涼しい風のおかげで、夏の暑さは和らげられ、冬の寒さも穏やかだそうです。日本とは違い、じめじめした夏という印象ではなく、カラッとした比較的過ごしやすい気候だと感じました。
サンディエゴ湾は世界でも数少ない自然港で6000隻ものヨットが泊まっている。
観光スポットとしては世界最大規模のサンディエゴZooやシーワールドなどがある。

アメリカでは、公的保険と民間の保険会社が提供する保険が主体です。 公的保険は社会保障プランであり、高齢者及び障害者を対象にしたほとんど自己負担のない「メディケア」と、低所得者を対象にした「メディケイド」があります。
その他の国民一般は主に民間の営利・非営利保険者の医療保障プランに加入します。勤務先の会社が雇用者の保険の一部を負担する民間被用者保険と、自営業や自由業、雇用先が保険に加入していない雇用者などが個人で加入する民間保険とがあります。

サンペドロ中心部にある、65歳以上の老人や身体障害者などに対する医療保険制度も受け入れ可能な個人薬局です。 在宅看護と糖尿病用品のレンタルも行っている薬局で、訪問時のスタッフの人数は、薬剤師2人、テクニシャン4人、クラークの方たちで業務を行っていました。
仕事の流れは、テクニシャンが調剤して監査は薬剤師が行うという、私たちが行っている業務の流れとさほど変わりはありませんでしたが、薬はほとんどヒートではなくボトル容器に入れられる点、そして自動錠剤分包機とパソコンで薬を管理して調剤している点が異なっていました。

  • 自動錠剤分包機とは、パソコンと連動している約200種類の薬が入っている機械です。パソコンに入力することによって、自動で指定された薬と錠数がラベルの貼ってあるボトルに入れられて出てきます。
  • ラベルにはバーコードが付いており、これを読み込むと薬の情報がパソコン上に表示されるようになっています。薬とパソコン上の情報を確認することが薬剤師の仕事となっていました。
  • 自動錠剤分包機の薬の在庫管理はパソコン上で確認できるようになっており、黄色の表示が出ているところは補充が必要な所だそうです。

この薬局の処方箋枚数は、1日約500枚。半分がリフィール処方箋で介護施設からの処方箋も電話で受付ていました。予製は取りに来る日がだいたい決まっているため、監査したら1人ずつ番号をつけ、番号をスキャンすればすぐに受け渡しできる専用の機械にセットしていました。患者さんが待つこともあまりないため、患者さんが受け渡しを待つ席も少なかったです。

手書き処方箋は、入力が終わり調剤したのち、医師に患者さんに薬を渡したことなどをFAXで伝えるということをしていました。病院と薬局間で情報がきちんと伝えられ、患者さんが安心して服用できるシステムになっていることに、仕事の細やかさを感じました。
薬はボトル容器に入れて渡すため、ヒートならすぐに確認できることも、ボトルでは直接薬を見て判断しなければならないので、ミスしないよう工夫して注意していました。
薬の形状や色がかわったものは、薬品名・規格・変更した日付を表にまとめて、ひと目でわかるように工夫されていました。患者さんに薬の説明をする必要のある時は、すぐ伝えることができるそうです。

慢性疾患や在宅看護用品など患者さんのニーズに合わせて医療用品や必需品、OTCなどがとても充実していました。患者さんにとって必要な物がすぐ手に入る環境にあることに、地域の人のための身近な薬局としての存在の大きさを感じました。
また、今回訪問している時に患者さんの話を聞く機会があり、身近に良い薬局があると、他のところにいく必要がないから助かっているということを話していらっしゃいました。この言葉は、患者さんと薬局側が信頼関係のもとにあるからこそ聴ける言葉であると思います。私も患者さんにそう思ってもらえるような、医療従事者をめざしていきたいと思いました。

PROIDENCE Little Company of Mary(プロビデンス・リトル・カンパニー・オブ・メアリー)病院内にある薬剤部を見学させていただきました。この病院はノンプロフィック・ホスピタルと言って貧困層や脆弱な方に対して利益を求めません。病院の運営自体は慈善による贈与品や財団などからの助成金の恩恵などを受け成り立っているカトリック教徒の病院です。寄付を行ったところへは減税などの利点もあるようです。
この病院は120人ほどが入院していますが、外来の患者は少なく、1日の処方は約170枚ほど。外来が少ない理由としてはこの病院だけで働いている医師がいないからです。クリニックの医師が病院の医療施設を利用し、患者への医療を行うオープンシステムを導入していました。医療を受けるにあたり医師を選ぶのはとても重要なことであり、患者さんは場所や専門分野など医療ニーズが最も合う医師によって治療を受けています。

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院内の薬局はお金のやり取りがないため、クラークはいません。薬は全体で約4000種類ほど置いてあり、そのうちの80%はジェネリックを使用しているそうです。病院自体を医師がレンタルして診察していると言う考え方から、医師には患者さんに使用する薬を院内にある物から選んでもらっています。患者さんからの要望で薬品名に指定があり、院内にはない薬だった場合、薬剤師の説明によりある薬剤で納得していただくか、別の医療機関で薬を投薬してもらうなどし、新たに院内で種類を増やしたりはしないようです。しかし、患者さんが持参した薬剤自体は預けていただき、薬剤師が院内で投薬している物とともにパソコンに入力し管理していました。

テクニシャン

  • テクニシャンは毎日4時間かけて1500ほど、入院患者さんが使う薬を調剤、監査して各病棟に運びます。ヒートは入院患者さん用というのが一般的であるため、ヒートの裏には1錠ごと薬の情報がわかるよう薬品名、期限、ロット等が表示してあり、これらは院内で包装しているため、ヒートはどれも大きいものでした。

  • 院内包装によるヒート
  • 病棟に運ぶ薬の監査

見学させていただいている時に驚いたことは、院内の薬局ということで、注射薬や癌患者のための制癌剤をテクニシャンが混ぜることも仕事の一つになっていることでした。

点滴と一緒になっている抗生物質は使用時にバイアル瓶を押して混ぜます。
高カロリー輸液は糖質・アミノ酸をバランス良く含んだ上にビタミンや微量元素を加えた物で、経口投与の出来ない人に使用します。糖質とアミノ酸は混ぜて置いておくとメラード反応(褐色)を起こし変成するので、二室式と言って一つのバックの中央を圧着してあり、押し破って混合し使用します。

薬剤の管理

麻薬はパソコンで管理している部屋が別にあり、全体で約30台。各ナースステーションにある麻薬管理マシーンと連動しています。薬の補充が必要な場合はこれを見て補充します。出し入れする際は、その都度、薬の数えてパソコンに在庫を入力しなければならない。
麻薬管理マシーンにはその他の薬も含め、約180種類が入っており、患者さんの名前・薬品名・数量を入力すると、引き出しが自動で開き、薬の保管場所がランプ点滅する仕組みになっています。
それらは誰が抜いたか解るように指紋ID認証が必要でした。テクニシャンはこの機械の補充もおこないます。しかし、管理の責任は薬剤師にあるため、問題が生じた時は薬剤師が対応するそうです。
院内には大勢のスタッフが出入りしています。欧米では医療従事者の麻薬中毒者も多いため、スタッフ間でそのようなことが起こらないための予防もかねているそうです。

薬剤師より

薬剤師はハイリスクの患者さんに対し、5~6時間かけて血中濃度などの管理に追われているそうです。このような患者さんに専念出来るのはテクニシャンのおかげだと話していました。
☆現在、テクニシャンからファーマシーディレクターとして勤務している方からはテクニシャンとして仕事をし、責任や色々なことを任せられることに対し、やりがいを感じているとお聞きしました。調剤薬局とは違う、病院テクニシャンの仕事を学ぶことが出来ました。これだけの仕事を任せられているということは、常に集中して正確に仕事をしなければならず、周りに気を配ることも大切なのだと改めて感じさせられました。

海外研修を終えて感じたことは、アメリカのテクニシャン、日本の事務の仕事内容にだいぶ違いがあるということです。
日本では制限されていることがとても多いのが現状なため、比較すると仕事に対する質に差があるように感じてしまいました。 今回、テクニシャンの仕事ぶりを拝見して、仕事に取り組む意識レベルの高さをうかがい知ることができました。
私たち自身、常に向上心を持ち、薬剤師また患者さんから頼りにされる存在になることで、今後海外のテクニシャンとの差も縮まるのではと思いました。