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ロサンゼルスはアメリカ合衆国カリフォルニア州にある人口約380万人の都市。ニューヨークに次いで全米2位の人口規模の、アメリカ西海岸を代表する世界都市の一つ。
ロングビーチはロサンゼルス南郊約30㎞に位置する人口約46万人の都市で、ロサンゼルス大都市圏の一角をなしている。重要な港湾と油田、海軍基地や観光施設を有する上に、交通の要所であるロングビーチは、経済都市としての地位が高く、航空・運輸・貨物産業が発達しており、また、医療も充実している。

公的保険と民間の保険会社の提供する保険の混合。
公的保険は社会保障プランとしてメディケア(高齢者、障害者、米軍勤務者を対象)とメディケイド(低所得者を対象)があります。一般国民は、民間の保険に加入しています。加入している保険会社や保険プランによって負担額も変わってきます。また、ほとんどの場合、加入している保険会社が指定する病院で、指定する医師からしか診察を受けられません。個人が保険会社と契約し、その内容により受けられる給付が変わってくるのは日本と大きな違いではないでしょうか。

ロングビーチメモリアルメディカルセンターは1980年代、全米のクリニカルファーマシーの象徴的な病院となる。以降、同メディカルセンターには優秀な人材が集まる。
もともと、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、南カリフォルニア大学でPharm.Dコースが作られる。

今回説明をして下さったMikeはカリフォルニア大学サンフランシスコ校出身で、その中でも優秀な人材として同メディカルセンターに就職。1980年代~1990年代前半まで病棟業務を行っていたが、1990半ばより、米国では病院薬剤師は必要なくなり、ホームケアファーマシーへ移ったそうです。
ホームケアファーマシーは病院の敷地内に経営者が薬局を建設。日本では規制が厳しく、そういったことはできないが、米国は自由にできるそうです。しかしながら、一般的に敷地内に建てたからといって有利ということはなく、結局患者さんは保険会社の指定する薬局へ行くのだそうです。
ホームケアファーマシーの基礎となる部分に、米国は平均入院日数が5.5日と短いことが根底にあります。例えば、盲腸は何もなければ日帰り、お産なら2日、開胸手術では2週間程と言われています。日本の場合、それぞれ1週間、6日、2~3ヶ月程で、米国がかなり短いことがわかります。
ホームケアファーマシーでは、インフュージョンセンターで使う注射剤、在宅医療で使う薬を調製していますが、在宅による治療と、癌患者さんも入院せず、インフュージョンセンターに定期的に通院することよる治療が行われていることも入院日数短縮につながっていると考えられます。
こちらの従業員数は薬剤師3人、テクニシャン5人、クラーク5人。薬剤師に対するテクニシャンの数は決まっており、薬剤師が1人ならテクニシャンは2人、2人なら3人、3人なら5人となっているとのことでした。

調剤室に入ると、隣のクリーンベンチでテクニシャンが混注を行っていました。作った薬は監査台へ。


薬剤師の役割

  • テクニシャンの作った薬の監査

    テクニシャンが作った薬は監査台に並べられ、薬剤師が監査をする。抗がん剤の場合は3回監査を行う。ちなみに、売上げで最も大きい割合を占めるのは癌患者さんへの薬とのこと。


  • 医師からの処方箋の監査

    投与量、相互作用、その他をチェックする。


  • 在宅患者さんの所へ訪問した看護師からの報告を受ける

    週1回看護師が訪問、検査し、結果を薬剤師に報告。それをチェックする。
    モニターはサービスでやっていて、無料。
    ○患者さんからすると⇒モニターをサービスでやってくれるから安心。
    ○保険会社からすると⇒モニターをやってくれるから事故等のリスクが減り安心。
    となる。しかし、患者さんは好きな薬局だから来るのではなく、保険会社が指定するから来る、というのが現実。

    ちなみに、日本は薬剤師が在宅訪問をすることを国が勧めていることについて話すと、「ありえない!人件費がかかりすぎる!」と驚いていました。 メディケアやメディケイドといった公的保険に加入している方に行っているサービスとして、その保険加入者には32%薬を安くするというものがあります。これは、メーカーに協賛してもらい、薬を安く仕入れ、代わりに、協賛してくれたメーカーの薬は優先して採用することで実現しているそうです。


その他伺ったこと…

米国では基本、薬価制度はないが、「1年間でこれだけの治療をいくらでやる」というのを決めているそうです。大体利益の10%となるように設定しているそうですが、
○10%より高い場合…profit ⇒税をとられる
○10%より低い場合…non-profit ⇒税をとられないとなっているそうです。

アメリカの医療についてお話を伺うと、本当に自由競争の国なんだなと感じました。敷地については規制がなく、薬価制度というものはなく、薬の値段はメーカーが自由に決めている。また、保険に関しても民間のものに加入するが、各社は競い合い、国民は自分に合うものを選ぶ、などと日本とは真逆で、日本がすごく窮屈に感じる場面もありました。薬剤師に関しても、アメリカでこの職業に就くには、本当に優れてなくてはならないのだなと感じ、見習うべきことが膨大であると感じました。

カンクンはメキシコ合衆国の南東部カリブ海沿岸のユカタン半島の先端に位置する都市。1970年代よりリゾート地として開発され、現在は年間で300万人を超える観光客が訪れる。周辺にはチチェン・イツァ遺跡やウシュマル遺跡、トゥルム遺跡などマヤ文明の遺跡が点在する。平均気温は27℃。メキシコは乾燥地のイメージが大きいが、カンクン周辺は湿地や海に囲まれている。夏場は特に、日本のように湿度が高い。

日本とは異なり、メキシコの医療制度は二重構造。保険診療と自由診療が混在しています。


患者サイド:公立病院の医療費は無料。

  • ⇒しかしながら、満足できる設備はなく、恐ろしい医療事故のニュースもある。診察までの待ち時間も異常に長いなど、保険診療の質が低い。
  • 私立病院を自由に受診可能だが、医療費は高額。保険は利かない。
    先進医療はすぐに米国から導入される。
  • ⇒高額所得者層(とはいっても月収35万円以上)のほとんどが、私立病院や診療所での診察を希望する。

医師サイド:経験の少ない医師は、午前は公立病院、午後は私立の診療所などで働く場合がある。

メキシコの社会保障制度を担っているのは、3つの公的保険。

  • ・正規労働者 ⇒  IMSS(メキシコ社会保険公社)の運営する保険
  • ・公務員   ⇒  ISSTE(国家公務員社会保険公社)の運営する保険
  • ・貧困者層  ⇒  Seguro popular de salud(大衆健康保険)

現在メキシコの人口約1億1200万人のうちの約80%が基礎医療を無料で受けられるシステムが確立されています。IMSSに関しては、人口の約58%が加入。これは、疾病・傷害全般に対する給付を行うものであり、保険料は給与に対する一定の割合で天引きされています。

医療水準は米国などと比較すると3割程度低いと言われていますが、大抵の病気は国内で治療・手術可能。
病院にかかると、治療費や入院費と別に“ドクター費”が請求される場合がほとんど。
その他、医師の給料は非常に低額に抑えられており、99%医師は、大病院の一角を借りる形で個人の診療所を経営しているそうです。但し、所属病院の入院施設等を利用できるので、入院できないということはないそうです。

今回訪問した病院は、建物全体がメディカルビルディングの様になっていて、その中に薬局が入った形。
病院経営者はクリニック、薬局をビル内に建て、医師などに貸しているそうです。25人の医師の名前が代表で掲げられていますが、常にその医師がいるわけではないそうです。
ちなみに、メキシコには“一般医”はおらず、専門医しかいません。これは、専門性が高くなくては仕事にならないそうで、日本と比べるとかなり科が細分化されていました。
日本の様な規制がないため、薬局は病院の敷地内にあっても問題ないとのこと。大抵の病院の薬局経営者は病院の関係者が多いのですが、結局患者さんは自分の好きな薬局(安い所)へ行くため、関係ないそうです。こちらの患者さんの半数は他へ行ってしまうとのことでした。

薬局のスタッフ… 薬剤師:1人、アシスタント:3人。
アシスタントの方は資格などは特にいりませんが、この薬局のアシスタントさんは専門を出ているそうです。
薬剤師が処方箋に基づき、患者さんへ投薬。薬は全て箱のままお渡し。

薬はメーカーから直接または卸を通して仕入れます。大量に頼む場合は、メーカーからの方が安くなっていいそうです。
先発品とジェネリックとでは、価格の差はとても大きいとのこと。(但し、あまり安すぎる物は注意が必要!偽物の可能性も…)

〈シプロフロキサシン500mgを例に…〉

  • ①シプロキサン(先発品)500ペソ/14錠=35.7ペソ/1錠(約218円/1錠)
  • ②他の先発品350ペソ/12錠=29.1ペソ/1錠(約178円/1錠)
  • ③ジェネリック96ペソ/8錠=12ペソ/1錠(約73円/1錠)

こちらの薬局で受け付ける処方箋の99%はこちらの病院の処方箋とのこと。1日45~50枚くらい来るそうです。
一回の診察で〈600~700ペソ(大体4000円くらい)〉+〈薬代〉がかかりますが、こちらの薬局へ患者さんが処方箋を持ってきて薬代を聞くと、高いため、他の安い薬局へ行ってしまう方が多いとのこと。この病院にかかる患者さんの半数は他の安い所へ行ってしまうそうです。
ボルタレンを例にすると、ここでは250ペソかかりますが、他では50ペソで買えてしまう所もあるそうです。
ところが…
かなり偽物の薬が出回っているのです。先発品の偽物も多く作られています(外装、錠剤の色までそっくり)。一般の人には区別はつきません。メーカーから直接買ったのなら大丈夫ですが、特に、卸を通して買った場合、薬剤師でも区別がつかないのだそうです。
よって、ジェネリックは安いのでわかりづらいですが、先発品で他よりも安い場合は、偽物の可能性が高いので気をつけなくてはなりません。
今回訪問した薬局はもちろん本物を販売しているため薬代は高かったです。しかし、一般の方は値段で薬局を選んでしまうため、偽物を買ってしまっている可能性が高いのが現実。安すぎる物には落とし穴があるので気をつけなくてはなりません。
このような事は、政府のコントロール力がないために、そういった薬局は偽物を販売しているのです。
メキシコ人はこういった現状を分かっておらず、今回一緒に聞いていた通訳の方は、「薬を買うのが怖くなってしまった」と言っていました。


その他伺ったこと…

10年前、メキシコの政府は医師に薬を一般名で処方するように言い、一般名で処方されるようになりました。ところがメーカーは薬をブランドネームで出しており(例えばシプロキサンだけでも10社くらいあり、それぞれ別のブランドネーム)、一般名で書かれると患者さんにはわかりません。現在はジェネリックも含め、ブランドネームで医師は処方箋を書くようになっています。ここで問題があり、こちらの薬局は医師の処方箋とは変えないでそのまま薬を出しますが、患者さんが安く買いたいからと他へ処方箋を持っていきます。
すると別のジェネリックに変えて処方され出されます。これにより、患者さんはもらう場所により名前が変わるためよくわからなくなってしまうのです。日本はこのような混乱が起きないようジェネリックの名称のつけ方をメーカーは規制されてきています。メキシコではかつての日本のような混乱が現在起きているのだそうです。
2年前から規制が厳しくなり、現在抗生剤は処方箋がないと買えなくなっているそうです。ところが、1ヶ月前、中原先生がカンクンの空港内の薬局で、OTC薬のシプロキサンやクラリスを見つけたそうです。こちらの医師に話を聞くと、「そんなはずは…もしかすると未だに売ってしまっている所もあるのかも」とのお話でした。
帰りにもう一度確認をしたかったのですが、薬局は閉まっており確認できませんでした。

「yza」:ジェネリック専門の薬局隣の診療所で相談(50ペソ≒300円)し、このような街の薬局で薬をもらう。
薬剤師:1人
アシスタント:1人
処方箋受付:30枚/日

メキシコは米国にかなり依存している国で、「メキシコで安く作り、米国へ持っていく」というのが基本となっている。しかしながら、米国にしてみると、あまり安くしすぎると物価が安くなり、米国の産業がダメになってしまう。よって、米国とメキシコの関係は微妙なバランスのもとで成り立っているのだそうです。
メキシコは、実際に話を聞いてみると、イメージよりもずっと“格差”の大きい国であることがわかりました。月収4万円ほどで診察には4000円程もかかってしまいます。公的保険に加入することで、公的病院では無料で診療は受けられるものの、良い医師はおらず、待ち時間は長いなどと、満足に治療も受けられないのが実状。
発展途上の国であり、日本に住んでいると考えられない現状。一方で、米国に依存している国だけあり、先進医療などを取り入れているといった面もある。貧富の差により同じ国とは思えないくらいの差だなと感じました。 普段あまり目を向けていなかった、こういった発展途上の国の医療についても知ることができ、視野も広がり、日本の医療も今までとはまた別の見方で世界と比べて見られたと感じました。