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オーストリアはヨーロッパ大陸のほぼ中央にある内陸国で、面積は北海道とほぼ同じ、緯度は北海道よりも北に位置します。
人口は約840万、首都のウイーンは170万人です。気候は、冬季は日照時間が短く平均最低気温が氷点下、夏期は日照時間が長く平均気温20度前後です。
ウイーンは言わずと知れた音楽の都で、モーツァルトやシューベルトなどの著名人が多数います。
レッドブルの本社があるのもオーストリアで、日本で買うよりも安く、473ml入の大容量のものなどもスーパーで売られています。
消費税は20%。食料・書籍・新聞などの日用品には軽減税率10%が適用され、嗜好品は20%です。所得から引かれる保険料も高いです。通貨はユーロ。

国民は原則として健康保険に加入しています。
公的保険契約のあるクリニックや病院では診療費は無料、薬局での薬は少額ですが自己負担があります。
開業医は一般医、専門医、歯科医に分けられます。
一般医はホームドクター、かかりつけ医の役割で、一般的な診療を行い病状によって専門的治療が必要と判断する場合には専門医を紹介します。検査が必要な際には指定の検査所への紹介を受けます。これらは全て電子カルテによりオンラインで結ばれていて、診断結果や検査結果はそれぞれに送られています。
また、公的保険契約を結んでいない私立のクリニックや病院を受診することもできます。これらはほとんどが予約制で待ち時間が少ない分、診療費も高額です。
富裕者はこうしたクリニックや病院での診療費をカバーするために民間の保険会社との医療保険契約を結ぶこともできます。

オーストリア国内には3つの薬科大学があります。半年間は薬局での研修を行いますが、都会では受け入れ先がなかなかない状態です。
就職も都会では難しいですが、地方では高給です。

ポーランドはヨーロッパの中央に位置し、西にはドイツ、南はチェコとスロバキア、東にはウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ロシアに隣接し、北にはバルト海が広がっています。
面積は約32万平方kmで日本の約5分の4、北海道と本州を合わせたくらいの面積です。人口は約3900万人で首都のワルシャワは約170万人です。
言語はポーランド語ですが英語を話せる人も多いです。
国民の約95%はカトリック教徒で、日曜には教会へ行きお祈りをします。
通貨はポーランドズロチ、1PLN=約30円。

ポーランドの医療システムは3種類の医療保険制度(公的医療保険、民間医療保険、特定民間医療保険)のいずれかを使用するか、使わずに自費で医療を受けるかに分かれます。


1.公的医療保険

公的医療システムです。国家保険基金(NFZ)と契約のあるすべての医療機関で、定められた範囲の医療を無料で受けることが出来ます。事故や急病の際には救急車を無料で呼ぶことができますが、本当に必要でないと判断された際には後日請求書が届きます。
保険料は所得の7.5%が国家健康基金に支払われ、そこから契約している医療機関へ報酬が支払われます。
薬局で処方せん薬を買う際にはディスカウントされて低価格で入手できますが、指定されていない薬の場合は市場価格での購入となります。

2.民間医療保険

民間の生命保険会社によるサービスで、提携する公的または私立の医療機関で適用されます。保険料に応じてサービスのカテゴリが分けられ、一般クリニックでの診療をカバーする健康保険と、病院治療をカバーする病院保険の区分があります。

3.特定民間医療保険

ポーランド内のグループ加入会社の外来において、保険契約ごとに定める医療サービスを受けることができます。

公的医療機関は慢性的な赤字により施設・医療機器の老朽化が改善されずにいたり、医療従事者の給与水準が低くサイドビジネスが助長されたり、汚職問題が起こったり、予約待ち時間が長いといった問題があります。ただ、ごく一部の公的医療機関は設備が突出して整備されています。
最近は施設や医療機器が充実した私立クリニックが多く、富裕層や外国人はこれらを利用することが多いです。

ワルシャワ市内の薬局。
薬局はどこのお店も、「薬局」という意味の「APTEKA」の文字を掲げています。
店内ではカウンター越しに接客をし、待合室内にはサプリメントや禁煙補助薬など、カウンター後ろの棚には処方せん薬が保管してあります。
店の奥にはコスメコーナーがあり、それも同じスタッフが販売をしています。
この店舗には薬剤師が4人、掃除などをするアシスタントの従業員が1人います。薬局のオーナーは薬剤師ではありません。1日の処方せんは100枚、その60%は自費のものです。

1日の来局者は約400人、その30%が処方せんを持って来ています。
オーナーは薬剤師で、元MRです。
がん患者のような重い病気の患者もいますが、たいていは病院で扱います。生活習慣病は高血圧が主で、糖尿病の人は少ないです。街を歩くと高身長でスリムな人がとても多い印象を受けます。

処方箋。右側の枠には薬ごとのディスカウント比率が%表示されています。
薬ごとに割引がされるのかされないのかが決まっていて、その線引きは薬剤師にもよくわからないようです。(それを調べるための分厚い本があります。)

その他教わったこと

●日本の薬歴に当たるような患者さんとの話の記録をするシステムや、服薬指導加算はありません。
●リフィル処方せん、それに当たるシステムは存在しません。
●ポーランドはヨーロッパの中でもジェネリック医薬品の普及が進んでいます。
その要因として、ジェネリックへ代替調剤した際に薬局側に経済的不利益が生じないよう、国がその補償をする制度になっています。患者はクリニックでは無料で受診できますが薬は自己負担のため、両者は積極的にジェネリックを使うことができます。

ワルシャワから南へ300km、古都クラクフのフロリアンスカ通りに建つ薬局博物館です。
19世紀当時の薬局の内装、調合用の道具、薬品瓶などありとあらゆるものが展示されています。
アンティークのような美しいものから怪しい物まで揃っています。

訪れた地の中で個人的に感動したのはポーランドの古都クラクフでした。かつてクラクフは首都でしたが首都がワルシャワへと移ったことにより戦地になることを避けられたため、11世紀の教会などが修繕を繰り返しながらも市街地に現存しています。そんな風景を眺めていると、長い時間の流れの中に自分も加わったような不思議な感覚になり、違和感を覚えながらも感動しました。
今回の研修では日本とは全く異なる医療制度に触れ、日本でのみ生きていたこれまでの凝り固まった意識、考え方を崩す良い機会となりました。