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ポルトガル共和国、通称ポルトガルは、西ヨーロッパのイベリア半島に位置する共和制国家です。
国土面積は約9万1985k㎡(日本の約4分の1)で、人口は1064万人(日本の約12分の1)であり、国民の97%はカトリック教徒です。
北と東にスペインと国境を接し、西と南は大西洋に面しています。

英葡永久同盟を背景に、大航海時代の先駆者となり、世界各地から富を持ち帰りました。
ヨーロッパで最初に海路で東アジアとの接触を持った国で、古くから日本との関係が深く、カステラや金平糖などもポルトガルが起源です。

漁業大国として栄えていましたが、EUに加盟してから魚の価格が下がり、経済状態が悪化しています。

ポルトガルの医療機関は、公立病院・公立診療所・私立病院・個人医院の4種類があり、地域のかかりつけの診療所で最初に受診するシステムで、怪我や手術、精密検査などが必要な場合には、診療所の医師の紹介で病院を指定されることになります。
一般的にはヨーロッパの中ではそれほど医療レベルが高くないのが実情で、特に公立病院では設備面や衛生面でもあまり進んでいません。
公立の医療機関では、ポルトガルの社会保険に入っていると無料もしくは2~3€(約400円)と低額で受診できますが、いつも混雑しており、受診までの時間も相当かかります。
私立病院では、設備面や衛生面ではほぼ問題なく、医療レベルも高いところがあり、安心して治療が受けられますが、社会保険は適用されず、個室に入院するだけで高額の費用がかかります。

ポルトガルでは、成績を20段階に分けており、薬学部に入るためには15以上、医学部に入るためには18以上の成績が必要となります。
ポルトガルには8つの大学に薬学部があり、そのうち5校が公立、3校が私立です。
薬学部は5年制で、半年の実務実習を終えて卒業すると薬剤師の資格が与えられるため、日本のように「薬剤師国家試験」というものはありません。 《Lisbon大学薬学部》 今回視察させていただいた大学です。生化学と微生物の研究に特に力を入れている公立の大学で、全部で18の学部があり、2000名以上の学生がいます。
薬学部は一学年約250名で、そのうちの8割は女性ですが、女性がそれほど多い理由は不明との事でした。
薬学部の学生のうち、約9割が卒業し、多くの学生はまず薬局へ就職しキャリアを積みます。
今回同行してくださったアフォンソ教授は、薬学の“薬局”部門の教授で、5年生に模擬薬局での実習などを担当しているそうです。

  • 実習棟にある模擬薬局です。
  • 講義棟の様子
  • 実習棟の様子
  • 薬学部の学生さんと

《Sao Francisco病院》 中小の公立病院で、薬剤師8人、テクニシャン20人、クラーク8人、事務3人が勤務しています。
ピッキングや注射の混注業務などは全てテクニシャンが行っており、薬剤師の業務は主に監査ですが、外来の患者に薬の説明をする必要がある場合は指導も行うようです。
後発医薬品の使用は義務との事でしたが、それでもシェアは40%程度だそうです。

  • ユニットドーズ・システム
    患者別のカセットに、処方内容に従って薬剤をセットし、病棟に供給しています。
  • 在庫管理
    上のライン以上は在庫せず、下のラインを下回ったら発注するという、とてもわかりやすいシステムでした。
  • サテライト薬局
    最近がん病棟にサテライト薬局を配置
    したとの事で今後は他の病棟への進出も
    考えているようです。

《Holon薬局(CampoGrande店)》 CampoGrande地区にあるHolon薬局のフランチャイズチェーン店です。
薬剤師10人、テクニシャン8人で運営しており、1日約500人が来局、処方箋枚数は約350枚です。
ポルトガルでは、地域の中で24時間、どこか一つは開いている薬局があるよう輪番制をとっていますが、こちらの薬局は、地下鉄やバスターミナルが近く、人通りも多い立地のため、輪番制の他にビジネスとして24時間開局していました。
ここは、ポルトガルの薬局の中でも新しいシステムを導入している進んだ薬局で、ピッキングマシーンも入っており、処方箋をバーコードで読み込むと自動的に調剤棚から薬が運ばれてきます。処方箋は全て包装単位での処方のため、患者さんへは箱渡しで、一包化などの業務はないそうです。
患者さんは、保険の情報や、いつ、どこで薬をもらったか等が記録されている個人カードを持っており、それで確認できること以外、薬歴のようなものはありませんでした。
処方箋の使用期限は6ヵ月で複写式になっており、3枚まで発行する事ができるそうです。
夜間は女性のスタッフ一人だと危ないため、内扉にあるBOXを介してのみ薬のやりとりをし、会計も現金ではなくクレジットカードのみで行うそうです。

  • ピッキングマシーン
  • 処方箋
  • ワクチン室
  • 夜間対応BOX

《薬局博物館》 ポルトガルの薬剤師会の本部のある会館に博物館が併設されていました。
展示物は薬15000アイテムで、その全てが本物であり、これらの殆どはポルトガルの勢力が盛んだった頃に世界各国から持ち帰ったものです。
博物館の目的は、一般の人々に薬局の健康管理の役割を理解してもらうためのものであり、子供達に薬局の重要性を教えるプログラムが、3~15歳までの子を対象にワークショップとして用意されています。
ワークショップの内容は、歯のみがき方や、タバコ・お酒の危険性などについての説明や、実際に調理を行って、食用油や栄養などについての指導も行っていました。
「薬剤師は人々の健康を守るためにあらゆる事をしなければならない」という、ヨーロッパの典型的な考え方がとても良くわかる博物館でした。

ポルトガルでは、成績を20段階に分けており、薬学部に入るためには15以上、医学部に入るためには18以上の成績が必要となります。
ポルトガルには8つの大学に薬学部があり、そのうち5校が公立、3校が私立です。
薬学部は5年制で、半年の実務実習を終えて卒業すると薬剤師の資格が与えられるため、日本のように「薬剤師国家試験」というものはありません。

  • ポルトガル薬剤師会館謙博物館
  • ワークショップ中の子供達
  • 館長のJoaoさんと
  • フレミングのサインの
    入ったペニシリン(本物)

ポルトガルという国は、今とても経済状態が厳しく、薬剤師は様々なことにチャレンジし、積極的に活路を見出そうとしていました。
病院薬剤師も、サテライト薬局などを始め、自らの存在の必要性をアピールしようと努力していました。とは言え、アメリカが40年前、日本が20年前に行っていたサテライト薬局を今始めようとしていることからもわかるように、病院薬剤師の仕事内容としては日本の方が進んでいる印象です。
薬局の方は、店舗毎に売上の差が大きく、ピッキングマシーンなどで合理化を図るなど、こちらも色々と工夫していました。ワクチン接種や健康相談は、ポルトガルでは当たり前のように薬剤師の仕事で、リフィル処方箋やテクニシャン制度、代替調剤(Holon薬局のGEのシェアは45%くらいとの事でした)も進んでおり、こちらに関しては、日本はまだリフィル処方箋もテクニシャン制度もないため、今後私達にはまだまだたくさんやらなければならない事があり、また、様々な可能性があると感じました。
一番感銘を受けたのは、博物館館長の「薬剤師は人々の健康を守るためにあらゆる事をしなければならない」という言葉で、こういった誇りが根底にあるからこそ、ヨーロッパの薬剤師は人々から信頼されていて、積極的なのだと思いました。
これからは、今回の視察で学んだ事を活かして、今まで以上に患者さんと向き合っていきたいです。
最後になりますが、今回このように素晴らしい機会を与えて下さった社長、専務をはじめとする皆様、本当にありがとうございました。また、引率して下さった中原先生、大変お世話になりました。誠にありがとうございます。