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サンフランシスコの気候は、年間を通して気温の変化が少なく過ごしやすい国です。真夏でも朝と夜はとても寒くなるので、コートが必要な時も多いようです。1日のうちで気温差が激しいので、温度調節ができる服装が必要です。
実際に訪問してみて、1日の中に四季があるような気候でした。

アメリカでは、自己診療の伝統があり、日本のような一般国民を対象とした国民健康保険制度は存在しません。現在のアメリカの医療制度としては大きく分けて、公的医療保険と私的医療保険の2つに分類されます。
高齢者・障害者や低所得者、軍人等には国が医療費を負担する医療保障制度として、メディケア(高齢者・障害者)、メディケイド(低所得者)といった公的医療保険に加入することが出来ます。それ以外の一般国民の多くは、民間の保険会社に加入します。保険の契約内容によっては、高い保険料を払えば自由に病院や処方される薬を選択できますが、安い保険料を払っている場合は、選択する範囲が限られてくるそうです。
また、保険の種類によっても異なりますが、病気に対しての治療費・治療薬は症状に関係なく決められてしまうそうです (包括医療) 。ジェネリック医薬品についても、患者さんに選択権利はなく、自動的にDr.が指示したジェネリックになります。
アメリカは無駄なことをせずに、それぞれの患者さんに合った医療を提供しているように感じました。日本との違いにも驚きましたが、このように差があると満足する医療を受けられる方が少ないのではないかと思いました。
また、日本では“会社で保険会社に加入する”という仕組みなので安心ですが、アメリカでは会社を選ぶ時には、その会社がどこの保険会社に加入しているか、自己負担の少ない、より良いサービスを受けられる保険会社に加入しているかどうかが重要なポイントになってくるのです。

アメリカの病院の多くは「オープン病院システム」といった仕組みがとられています。これは、“病院に医師がいない“という日本では考えられないシステムです。簡単に言えば、医師が別にいる管理者が経営する病院に自ら出向いて、病院のベッドと医療器具をレンタルして診療をするという仕組みです。

日本にはない薬局テクニシャン(Pharmacy Technician)制度とは、薬剤師が本来するべき仕事に集中する為に、できる範囲の補佐をする人のことを言います。
テクニシャンになる為にはまず・・・
①最低18歳以上であること
②PTCB(薬局テクニシャン認定会)によって認定されているか薬事会によって承認された認定規定に沿っていること
③高卒以上、またそれに同等な学位を持っていること
④良識とモラルを備えていること
これらの条件に見合っていること、そのうえで、テクニシャン学校等へ通って基礎知識を身につけ、病院や薬局などへの研修を含めて約1500時間勉強しなければなりません。 そして、最終的に資格を取得しテクニシャンとしての免許がもらえるという仕組みです。
実際に働いてからも、約1~2年でテクニシャンの免許は更新しなければならない為、再度ライセンスを受け資格を取得するそうです。

アメリカでは珍しく外来中心にやっている病院です。
チャイナタウンの中心ともあって、患者さんの多くが中国系の方でした。

  • 1日の処方箋枚数700枚
  • 入院患者:30~35人
  • 薬剤師:8人テクニシャン:3人学生:1人
  • ここでの業務は、外来患者の処方箋受付や入院患者の薬や注射薬等の調剤をしています。

入院患者

入院患者の薬は、1日に服用する薬、点滴などが入院患者専用の引き出しに入っています。

外来患者

外来の薬は、1種類ずつボトルに入れて処方されます。ここで使用しているボトルには子供があけて飲まないように、普通にあけるのではなく、押しながらあけるように工夫がされていました。
ここへ来る患者さんは、低所得者の方が多く、外来の80%はHMOに加入しているそうです。保険料を安く払っている分、医師や医療機関選択の自由が制限されている為にHMOなどの保険会社が認定している所に行くようです。また、アメリカでは『オープン病院システム』が導入されていますが、この病院では、それとは違い日本の病院のように、常に医師は病院にいるようです。

チャイナタウン街にある個人薬局です。待ち時間は20~30分程度で、患者さんは待合室のイスに座って待つという日本と似たようなスタイルでした。

  • 1日の処方箋枚数は約200~300枚
  • リフィール率は60~70%
  • 薬剤師:1人テクニシャン:1人クラーク:4人学生:1人

日常業務の流れ

受 付 (クラーク) ⇒ 処方入力 (学生さん) ⇒ ピッキング (テクニシャン) ⇒ 監査 (薬剤師) ⇒ 投薬 (クラーク)の順でほぼ日本と同じような流れです。

  • 処方箋の様式(手書き)
    病院によって様式は変わる
  • 入力風景
  • テクニシャンが調剤
  • 出来上がったお薬のチェックなど
  • リフィール処方の方のお薬

自動調剤マシーン

自動的にお薬を調剤してくれるマシーンで、約200種類のお薬がセットされています。
①処方内容を入力後、自動調剤機の専用PCに情報が流れる。
②薬品の前へボトルが移動し、必要な錠数のみ詰められる。
③お薬の名前・用法・用量が記載されたラベルがボトルに貼られた状態で流れてくる。

  • 処方入力後
  • 自動調剤機に情報が流れ
  • お薬のボトルが移動
    必要な錠数分詰められる
  • ラベルが貼られた状態で流れてくる
  • きちんとお薬がセットされ
  • キャップをして出来上がり

自動調剤マシーン

“患者さんに確実にお薬を渡しました”という証明の為のシステム。 アメリカでは必ず、投薬後に「間違いなくお薬をもらった」というサインをしなければならないそうです。これは、法律で決められています。 日本にはない制度で、もしこの制度が導入された場合、お薬の渡し忘れなど、後日お薬がないという患者さんも減ると思うので、とても良いシステムだと思いました。

スーパーマーケットの中にある薬局で、6ヶ月前にオープンしたばかりの新しい薬局です。

  • 1日の処方箋枚数は約30枚
  • リフィール率は全体の70%
  • 薬剤師:4~5人  ・テクニシャン:4人
  • シフト制
  • 通常は薬剤師1人:テクニシャン1人

まだ新しく出来たばかりということもあり、ほとんどリフィールで、明日以降取りに来るという連絡がある為、在庫常備の削減、薬が不足していてもすぐ仕入れるので心配ないそうです。 ここでは500品目の薬品を扱っており、その中でもインスリンの注射薬は処方箋なしで購入できるそうです。ただし、作用が短すぎず、長すぎない、レギュラーインスリンに限ります。 冷凍庫の中には鳥インフルエンザ用のワクチンが常備されていました。1日2回、温度チェックを行うそうです。インフルエンザのワクチンをDr.の手元ではなく、薬局で保管して患者さんに直接お渡しするという行為は、日本では考えられないことだったのでとても驚きました。 また、子供用のシロップ剤は、粉末状になっていて、水に溶かし液体にします。もともと味がなく、子供が服用しづらい為、フレーバーで味付けをすることが出来ます。フレーバーの味は何種類かあり、患者さん自身で好きな味を選択することが出来ますが、別に料金がかかるそうです。薬局によって値段は異なりますが、ここの薬局では3$かかるそうです。

ドラックストアの中にあるチェーン薬局です。

  • 1日の処方箋枚数は約250枚~300枚
  • リフィール率は65~70%
  • 薬剤師:2人  ・テクニシャン:3人
  • シフト制
  • 通常は薬剤師2人:テクニシャン3人

ピッキング時、バラの錠剤をかんじゃさん用のボトルに詰める際に使用していました。

  • 自動調剤マシーン
  • 錠剤ストッカー

テクニシャン

ここでは、テクニシャンの具体的な仕事内容について話を聞くことが出来ました。
~おもな仕事内容~
*処方箋(リフィール処方)の電話、ネット受付など
*薬剤のピッキング(液体の調整)
*患者応対
*保険会社とのやりとり
*リフィール処方箋
・処方内容に関しての医師への連絡など
・薬を取りに来なかった患者への問い合わせ
・リフィール処方薬を投薬後、Dr.へ連絡する
ほぼ、薬局業務のすべてのことを行っているそうです。
何があっても慌てずに自信を持って仕事をしているその姿勢が、とても印象的でした。

処方箋

この用紙はハガキ様式の処方箋です。Dr.から薬局へ処方内容の連絡あり、患者の名前、処方内容など必要事項を記入します。記入した時点で、このハガキが正式な処方箋になるそうです。その後、患者さんが来局した際、指示された通りに投薬をするという流れです。 医師が発行する処方箋を受付けるのが主流の日本では、このようなシステムは考えられません。聞き間違いや記入漏れなど間違いの許されない責任重大な仕事の1つだと思います。それをこなせるアメリカのテクニシャンの方々の偉大さにとても驚きました。

薬剤情報提供書

アメリカでは、お薬の説明書(薬情)は日本のように毎回お渡しするのではなく、初回来局時のみの発行となるそうです。 日本では、お薬の効能や必要最低限の注意点などが記載されていますが、アメリカでは1つのお薬に対しての説明が添付文書のように細かく、1枚で1剤分のお薬の説明が記載されています。  また、テクニシャンが投薬する際にお薬の説明はしない為、このような長い説明書になるのではないでしょうか。もし、他に質問がある場合は薬剤師が対応するそうです。

OTC医薬品

日本で見たことのあるお薬が多くありました。 日本とは違い、アメリカではOTC医薬品を購入する場合、処方箋の必要はありませんが、身分証明書を提示しなければならないそうです。

今回、実際にサンフランシスコの薬局訪問をさせて頂いて、初めて見るものばかりでとても新鮮でした。 医療制度やシステムなどアメリカとの違いは知っていましたが、実際に現場に訪問し、日本との差がこれほど違うということにも驚きましたが、見習うべきことも沢山ありました。 テクニシャンの方のお話で、仕事をするうえで一番気を付けている事は何ですか?という質問に、「処方箋を間違いなく読んで入力をすること」と答えてくださいました。あれだけ業務の数が多く、責任のある仕事を任されている中で、いつでも初心を持って仕事をこなしている姿を見て、今の自分自身を見直すきっかけとなりました。
これからの業務でも海外研修で学んだこと、感じたこと、沢山の経験を活かしていけたらと思います。本当に参加出来て良かったと思える研修となりました。