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ツーソン・アリゾナ州(Tucson, Arizona)

アメリカ合衆国・アリゾナ州南東部に位置する内陸の都市で、フェニックスから南に100マイル(160キロ)、メキシコ国境からは北に60マイル(100キロ)の場所に位置しています。町は平坦な砂漠にあり、周囲を不毛の山々が、砂漠を囲むように連なっています。年間を通じて温暖な気候と穏当な生活費から、老後の生活を送るために移住する人が後を経ちません。

気候・環境

ツーソンは常に乾燥しており、年間降雨量は25センチもありません。夏場の気温は45℃にまで達することもありますが、冬は20〜25℃とおだやかです。ツーソンの町取り囲んでいる砂漠は、高さ10メートルを超すサワロサボテン(Saguaro Cactus)に埋め尽くされています。

人口

人口は541,811人(2008年)で、年々増加。ツーソンの人種的構成は白人70.15%、アフリカン・アメリカン4.33%、先住民2.27%、アジア2.46%、太平洋諸島系0.16%、その他の人種16.18%、及び混血3.79%です。人口の35.72%はヒスパニックまたはラテン系です。

古くはアリゾナ州の暫定州都が置かれ、また近郊のトゥームストーンにはOK牧場の決闘で知られるOK牧場があります。ツーソンに隣接するサワロ国立公園(Saguaro National Park)では、このサボテンの立ち並ぶ森の中をドライブしたり、たくさん敷かれたトレイルをハイキングしたりできます。アリゾナ・ソノラ砂漠博物館(Arizona Sonoran Desert Museum)はツーソンから西に15マイル(25キロ)、オールド・ツーソン(Old Tucson)ほど近くのサワロ国立公園南口にあり、この辺りの砂漠の植物系および動物系を学ぶのに最適の場所です。オールド・ツーソンは、もとはカウボーイ映画の撮影用として、昔の西部の町並みを再現して造られました。現在では娯楽施設やレストラン、ギフトショップに西部劇場そのままの衣装の役者たちまでいる一大テーマパークとなっています。周囲を山に囲まれ、観光・保養都市としても注目を浴びているほか、アリゾナ大学の所在地でもあり、学術都市としても知られています。

アリゾナ州の薬剤師:アリゾナ大学薬学部と薬剤師の研修

アリゾナ大学(The University of Arizona)は、アメリカ合衆国アリゾナ州ツーソン市に本部を置く、1885年に設置された州立大学です。アリゾナ州最古の研究型大学であり、学生数36,800人(2006年)を超えます。
アリゾナ大学薬学部は、教師約80人、Phar.D.コースの学生4学年で約350人(1学年80〜90人)在籍。日本人は1名在籍しているそうです。NAPLEX 合格率は、95%以上。2年間の基礎科目(プレ・ファーマシーコース:数学、化学、物理などの基礎科目)を約70単位修得し、GPA3.0以上、PCATという試験に合格すると4年間のPham.Dコースが受けられる。2010年秋のアリゾナ大学薬学部のPham.Dコースの入学生の平均年齢は25歳(18〜57歳)です。卒業生の約70%が薬局へ就職しています。
薬剤師の免許は、2年ごとに更新しなければならず、2年で30単位とらなければならない。研修は講義や体験学習があり、選択することができる。

2010年春の卒業生の進路 円グラフ

アリゾナ大学薬学部の学生と市民

ツーソンの世帯ごとの平均的な収入は30,981米ドルであり、家族ごとの平均的な収入は37,344米ドルです。人口の18.4%及び家族の13.7%は貧困線以下です。全人口のうち18歳未満の23.6%及び65歳以上の11.0%は貧困線以下の生活を送っています。

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ある国や社会で生活していくのに最低限必要とされる支出額や所得額のこと。統計上、それ以下の収入では一家の生活が支えられず、最低生活も維持できないと考えられる統計上の境界線。

アメリカでは、民間の保険会社の中から、自分たちにあった保険を探し出して契約しますが、民間の医療保険は、毎月ひと家族あたり2万円から20万円以上と高額なため、国民の4割近くがどの保険にも入っていないといわれ、大きな社会問題となっています。このため、保険に入りたくても入れない人のための救済制度や、非営利団体が支援を行なっています。
ツーソンも同様で、貧困線以下の生活を送っている人やツーソンに暮らすアメリカ以外(日本、韓国、中国、など)の人々に対しアリゾナ大学薬学部では、無料の健康相談を年に数回行なっています。そのために、さまざまな人種の人たちと接するためにコミュニケーション能力が必要とされます。

Pham.Dコース1年の
コミュニケーションの授業

アリゾナ州ではインフルエンザ、百日咳、B型肝炎などのワクチンは薬剤師が打つことができます。大学の授業では10年位前から教育内容に入っていたそうです。また、今年からスーパーの入り口には、店内の薬局でインフルエンザ・ワクチンを受けられるという看板が置かれるようになりました。薬局間の競争・集客の競争もあり、積極的に行われるようです。

セドナにあった、スーパーの入り口の看板

21世紀の薬剤師業務はどうあるべきか。Michael D.Katz准教授の話

将来において薬剤師の重要な役割として、薬物療法に関するいろいろな問題に対して深くかかわっていかなければならない。日本では調剤がメインの仕事であるが、米国ではテクニシャンがやるもので、薬剤師は全く必要がないし、社会も薬剤師に対して機械的な調剤は求めていない。しかし、テクニシャンに対する監督・責任は薬剤師が持たなければならない。また、社会からの要求に応えるために、例えば、正しい時間で、正しい量を、正しい方法でできるように患者に指導するなど、薬物治療による患者治療を良いものにしなければならない。

サンフランシスコ、カリフォルニア州(City and County of Son Francisco, California)

ロサンゼルスと共にカリフォルニア経済、工業の中心地として知られており、金融センターとしてアメリカ西海岸では随一の重要性を持っています。サンフランシスコ自体の人口は776,733人だが、対岸のオークランドなどを含めた都市圏(MSA)の人口は4,123,747人にも上り、全米第12位の規模。さらに南岸のサンノゼを加えたサンフランシスコ・ベイエリア全体の人口は7,092,596人で広域都市件(CSA)として全米6番目の規模です。(2000年国勢調査)。それゆえに大規模なダウンタウンが形成されており、近代的なビルが建ち並ぶ、シリコンバレーやカリフォルニア大学バークレー校も近く、コンピューター系の企業も多い。

サンフランシスコの気候は地中海性気候に属し、一年中気温の差があまり無く、気候的にも住みやすい都市です。急な坂や深い霧に覆われる場合が多いことでも有名です。有名な観光スポットとしてゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフ、ツインピークスなどが挙げられます。市内を走る伝統あるケーブルカーも人気が高い。

Walgreenとは

Walgreenは、1901年にイリノイ州シカゴで設立され、以来全米に展開しています。CSVファーマシーと並び、アメリカ最大の薬局チェーンの一つとなり、全50州とワシントンDC、プエルトルコ、グアムで約7,000店を展開しています。典型的なWalgreenの店舗は、1,000㎡の売場面積を含めて1,350㎡あります。25,000アイテムを販売し、通常1店舗当たり約25人から30人のスタッフを擁しています。年間売り上げは1店舗あたり平均850万ドル。ほとんどの店舗には薬局、現像所、化粧品カウンター、そして一般商品エリアがあります。
また、職場健康センター、在宅医療施設、スペシャルティ薬局、メールオーダーサービスも運営しており、小会社のテイク・ケア・ヘルス・システム(Take Care Health Systems)は、220の診療所(クリニック)をWalgreen店内で営業しています。

Walgreenの業務と特徴

基本的には、日本と同じように病院からの処方箋をもとに調剤をして投薬というかたちです。特徴としては、Walgreenのパソコンはすべての店舗で繋がっているため、旅行などで、遠出しているときに他の店舗に行っても、その患者の副作用やアレルギーなどの情報がすぐにわかるそうです。しかし、会社の上司などが勝手に見ることができないように個人情報の保護もしっかりしているとのことでした。 売り上げは、Walgreenは処方箋6割、その他4割、他の薬局チェーン処方箋7割、その他3割と、薬剤の割合は少なめです。

フルショット(インフルエンザワクチン)について

基本的には、保険会社が全額負担するため無料で受けることができます。それはインフルエンザにかかるよりワクチンの方がお金がかからないためです。また、保険に入っていない人でも約30ドルで受けることができます。日本人も同じように受けることができます。

なぜ薬剤師がするようになったのか?

ひとつは医師が忙しいためです。外来の患者を診るのに30分/人と、時間をかけるためフルショットをする時間がないため予約が必要です。薬局だと優先的にできるため、予約なしで5分くらいの待ち時間でできます。そして、薬局でフルショットするには、地域ドクターの許可は必要ないですが、協力があるとより良いようです。なお、カリフォルニア州では、ワクチン接種について大学のプログラムに組まれており、100%できるようにトレーニングされています。学生も打つことができます。
また、薬局間の競争があり、他の大手薬局チェーンと差をつけ、集客のため積極的に行うようになったそうです。2年ほど前までは看護師を週一で呼びに行っていましたが、薬剤師がフルショットをするようになったことで、毎日できるため集客につながっているそうです。
日本と同じように高齢者(65歳以上)や幼い子供にはフルショットをすすめているそうです。また、フルショットのギフトカードというものがあり、友人などに送ることができます。

薬局での薬剤師の仕事は一見同じように見えました。しかしフルショットの話を聞いて、日本と違いアメリカでは薬剤師はまさに医療行為を行う医療人といった感じでした。また、ワクチン接種については大学のプログラムに組まれていることもあり、カリフォルニア州の薬剤師の医療人としてのレベルの高さに驚かされました。このようなアメリカの薬剤師の質の高さは、大学の教育内容、学生の勤勉さが関係しているのはと思いました。今の日本でこのような医療行為ができるようになるのは当分先だと実感しました。
また、患者やドクターからの信頼関係を結ぶためには、人とのコミュニケーションも必要だと思いました。